2024/11/9
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241109_定年後起業 |
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「20代からはじめる起業準備:起業したらどんな状態を目指すのか?」
1.はじめに:なぜ「第一段階」が最も重要なのか? 起業をお考えのあなたは、どのような未来図を描いていらっしゃいますか。「いつかは大きな会社に成長させたい」「社会に影響力のある企業を創り上げたい」、そのような夢をお持ちかもしれません。しかし、その夢を実現するために最も重要となるのは、意外にも**売上1億円までの「第一段階」**なのです。ベストセラー『大富豪の起業術』の著者マイケル・マスターソンは、事業の成長には4つの段階があり、その最初の段階で将来の成長の土台が決まると指摘しています。 第一段階とは、売上規模0〜1億円、人員7人以下の期間です。この時期に確立する仕組みが、その後の成長速度を大きく左右することになります。実は、多くの起業家の方々が直面される課題は、この第一段階での準備不足にあります。急成長を求めるあまり、基礎となる収益の仕組みを確立されないまま事業を拡大されてしまうことが少なくありません。その結果、組織は混乱し、収益は不安定になり、起業家ご自身も疲弊されてしまうのです。あなたの起業を確実な成功へと導くためには、まずこの第一段階で「儲けるアイデアの事業化」と「安定したキャッシュフローを生み出す仕組み」を確立することが重要です。では、具体的にどのような課題があり、それをどのように解決していけばよいのでしょうか。
2.起業初期に陥りやすい3つの落とし穴 第一段階で多くの起業家の方々が直面される課題について、具体的に見ていきましょう。思いがけない落とし穴に気づかないまま進んでしまうと、その後の成長に大きな支障をきたす可能性があります。 1)売上至上主義への陥穽 売上を伸ばすことは確かに重要です。しかし、「とにかく売上を上げなければ」という焦りから、収益性の低い案件や、自社の強みを活かせない仕事まで引き受けてしまうケースが少なくありません。その結果、利益率が低下し、さらには社員の方々の負担が増大することで、サービスの質も低下してしまいます。 2)属人的な業務運営の罠 創業期は、限られた人数で運営されるため、特定の個人の経験やスキルに依存した業務プロセスになりがちです。「私がいないと回らない」という状態は、一見効率的に見えても、事業の拡大や、急なトラブルへの対応に支障をきたします。また、新しい人材の育成も困難になってしまいます。 3)「今だけ」思考による基盤軽視 目の前の仕事をこなすことに精一杯になり、「今は忙しいから」と、業務の標準化や、管理システムの導入を後回しにしてしまうことがあります。しかし、この「今だけ」思考が、後々大きな負債となって表面化してきます。事業規模が大きくなればなるほど、後からの修正は困難になります。 これらの落とし穴は、いずれも短期的には目立った問題とならないかもしれません。しかし、事業が成長期を迎えた際に、深刻な経営課題として表面化してくるのです。では、これらの課題を回避し、健全な成長を実現するために、第一段階で具体的に何を実現すべきなのでしょうか。
3.第一段階(売上1億円まで)で実現すべき3つの要素 『大富豪の起業術』では、第一段階で確実に実現すべき要素が示されています。これらを着実に構築することで、その後の成長への強固な土台を築くことができます。 1)安定したキャッシュフローの仕組み作り まず最優先すべきは、継続的な収益を生み出す仕組みの確立です。具体的には以下の3点に注力します。 ・得意分野への経営資源の集中:自社の強みを活かせる商品やサービスに特化する ・固定客の獲得と維持:一度きりではない、継続的な取引の仕組みを構築する ・価格設定の適正化:適切な利益率を確保できる料金体系を設計する 2)7人以内での効率的な組織体制 小規模だからこそ実現できる、機動的な組織づくりが重要です。 ・役割の明確化:各メンバーの責任範囲と権限を明確に定義する ・情報共有の仕組み化:重要な情報が確実に共有される仕組みを確立する ・相互バックアップ体制:急なトラブルにも対応できる体制を整える 3)標準化された業務プロセス 将来の成長を見据えた、再現性のある業務の確立が不可欠です。 ・業務マニュアルの整備:核となる業務の手順を文書化する ・品質管理基準の設定:サービスの質を維持するための基準を定める ・効率化ツールの導入:初期段階から適切な管理ツールを活用する これらの要素は、いずれも「今後の成長」を見据えたものです。特に重要なのは、これらを「後回し」にせず、売上1億円までの段階で確実に実現することです。この時期は、まだ組織の規模が小さく、新しい仕組みの導入や変更が比較的容易だからです。
4.まとめ:第一段階を確実に築くためのポイント ここまでご説明してきた内容から、成功への確実な一歩を踏み出すためのポイントをまとめてみましょう。 売上1億円までの第一段階は、その後の成長を左右する重要な時期です。この時期に必要なのは、急激な成長ではなく、確実な基盤づくりなのです。以下のチェックリストを参考に、ご自身の事業の現状を見直してみてはいかがでしょうか。 1)キャッシュフローの基盤 (1)月間の固定収入が安定的に確保できている (2)利益率の高い主力商品・サービスが確立している (3)顧客との継続的な取引の仕組みがある
2)組織運営の基盤 (1)7人以内のチームで必要な業務が回せている (2)メンバー全員の役割と責任が明確になっている (3)特定の個人に依存しない体制ができている
3)業務プロセスの基盤 (1)核となる業務の手順書が整備されている (2)品質管理の基準が明確になっている (3)基本的な業務管理ツールが導入されている これらの基盤づくりは、今後の飛躍的な成長のために必要不可欠な投資とお考えください。焦らず、着実に、一つひとつ実現していくことで、必ず成功への道が開かれていくはずです。
5.関連記事 本記事では売上1億円までの第一段階における基盤づくりについてお伝えしてまいりましたが、さらに具体的な実践方法について、以下の関連記事もぜひご覧ください。
1)「小規模事業の収益モデルの作り方」 2)「少人数チームの生産性を最大化する方法」 3)「業務プロセス標準化の基本ステップ」以上です。
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