2025/4/19
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250419_ウォール街は今-歴史に学ぶ資産増強法 |
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前回のブログでは、“ウォール街のプレイヤーたちは、市場の乱高下すらも自らの利益創造のチャンスに変える術を持っています。 そしてその多くは、「事前の準備」や「情報の先読み」、「冷静な判断力」に支えられた行動によって成り立っているのです。”と書きました。彼らの短期的投機行動に惑わされることなく、対局を見て我慢すべき時は、臥薪嘗胆です。 例によって前回の相場との比較です。 NYD前回4/4 $38,314.86でした。昨日は4/17 $39,142.23 為替相場前回4/4 145.63円/$ 昨日は4/17 142.18円/$ グッドフライデー(聖金曜日)でドイツやフランス、英国などが祝日となるほか、米国では株式・債券市場が休場となるなど、市場参加者が少ない中では積極的な動きは期待しづらいようです。経済イベントも、サンフランシスコ連銀のデイリー総裁の講演程度と少なめです。今月に入り「関税によりインフレが再び上昇する可能性が少し懸念される」「次の行動を検討する時間と余裕がある」などと話しており、トーンに変化がないか確認しておきましょう。
「歴史に学ぶ資産増強法」
1.はじめに:なぜ今、“暴落時の教訓”を学ぶべきか? 株価が下がり始めるとき、あなたのまわりでは「売った方がいいのでは?」という声があふれます。そして実際に多くの人がその恐怖に動かされ、損を確定させてしまいます。しかし、歴史を振り返れば、その判断が“もっとも損をする選択”であることは明らかです。暴落の最中、冷静でいられる人は少数です。ですが、その少数こそが、次の好機をつかむ準備をしている人たちです。1929年の大恐慌にしても、2008年のリーマン・ショックにしても、「動揺する大衆」と「淡々と備える一部の投資家」の姿はいつの時代も変わりません。 あなたがもし、「次の暴落に巻き込まれたくない」「大きく損をしたくない」と思っているのなら、必要なのは未来を予測することではありません。むしろ、過去に何が起き、そこでどう判断した人が生き残ったのかを知ることが、もっとも実践的な学びになります。歴史は繰り返す――この言葉には、単なる偶然ではなく、人間の心理が市場を動かしているという前提があります。だからこそ、かつての危機を知り、その中で資産を守り、増やした人の行動から学ぶことが、あなたにとっての“現実的な防衛策”になるのです。 本記事では、過去最大級の金融危機=1929年の大暴落から得られる知恵をもとに、現代の不安定な市場にどう備えるべきかを、順を追って解説していきます。次の暴落が来たとき、あわてるのか、備えて動けるのか。それを分けるのは、「今、学ぶかどうか」にかかっています。
2.恐怖で動くと損をする──歴史が示す投資家の行動パターン 市場が急落するとき、多くの人がまず感じるのは「なぜこんなことに?」という混乱と不安です。株価チャートが真っ赤に染まり、ニュースやSNSが悲観的な情報であふれ出すと、冷静さを保つのは簡単ではありません。しかし、このような局面での行動こそが、あなたの資産形成に大きな差を生む分かれ道になります。 歴史を振り返ると、大暴落のときに慌てて売却した人たちは、その後の反発でチャンスを逃してしまうことがほとんどです。特に1929年の世界恐慌では、株価が暴落してからわずか数日で急騰する場面もありましたが、多くの投資家はすでに保有資産を手放してしまっていました。なぜ、こうした「損を確定させる行動」が繰り返されるのでしょうか?それは、人間の本能が“損失を避けること”に強く反応するようにできているからです。心理学では「損失回避バイアス」と呼ばれ、利益を得る喜びよりも、損をする苦しみのほうがはるかに強く感じられるのです。そのため、多くの人は「もっと下がるかもしれない」という不安に押されて売却を選び、実際には安値で手放してしまうのです。 一方で、冷静に構えていた少数の投資家は、暴落を“割安な優良資産を手に入れる絶好の機会”ととらえて行動します。恐怖に流される人々が退場する中、着実にポジションを構築し、数年後には大きなリターンを得る――こうしたパターンは、リーマン・ショックでも、コロナショックでも同様でした。市場の暴落=危機と同時にチャンスでもあるという現実を、頭だけでなく「感情レベル」で理解できるかどうかが、投資家としての力量を左右します。だからこそ、次の章では実際に危機の中を生き抜いた人物の実話をもとに、どのように資産を守り抜いたのかを深掘りしていきます。
3.1930年代・大恐慌の実話に学ぶ、資産防衛の鉄則 1929年、アメリカの株式市場は史上最悪の暴落を経験しました。その後3年間にわたって続いた「大恐慌」は、株価の下落だけでなく、失業率の急上昇、銀行の大量破綻、企業の倒産連鎖など、社会全体を巻き込んだ深刻な経済危機へと発展しました。そんな中、ある一人の投資家は冷静さを失いませんでした。彼はAI分析の先駆者でもあり、この時代をリアルタイムで経験した人物です。彼が語った“暴落時の鉄則”は、今なお私たちに通用する普遍的な教訓を含んでいます。 まず、彼は市場が反発したときにこそ、売却のチャンスだと考えていました。政府や大統領が発表する景気刺激策や演説で、相場が一時的に上昇したとしても、それを楽観的に受け止めず、リスク資産を手放し、安全資産や現金へ切り替える判断を徹底したのです。そしてもう一つ重要なのは、「不安定な銀行から資金を引き出す」という行動でした。当時、多くの人が銀行にお金を預けたままにし、取り付け騒ぎで全財産を失いました。一方で彼は、現金という“即時に使える資産”の価値を誰よりも理解していたのです。表面的には、現金を大量に持つことが無駄のように思えたかもしれません。しかし現実には、価格が下がるにつれて、同じ現金で買える“モノの価値”がどんどん上がっていくという逆転現象が起きていました。彼はそのことを知っていたからこそ、「資産を守る」というよりむしろ、「暴落の中で資産を築く」ことができたのです。 さらに彼はこう語ります。「お金を貯め、現金を隠し、仕事を続け、日常生活を営むだけで、あなたは富を築いていた。」これはつまり、焦って動かず、静かに備えることこそが最大の戦略であるということです。投資に関する専門的な知識よりも、「市場がパニックに陥ったとき、どう行動するか」が最も重要なのだというメッセージなのです。今のあなたが置かれている状況は、当時とまったく同じではないかもしれません。しかし、人間の行動原理と市場の構造は、時代が変わっても本質的には変わっていないのです。次の章では、そんな「現金」の持つ真の価値について、もう少し掘り下げて考えていきましょう。
4.なぜ“現金”が富を生む武器になるのか? 多くの人が「現金は利回りを生まない」「インフレに弱い」といった理由で、投資先としての魅力を感じないかもしれません。たしかに、通常の経済環境ではそれは正しい考え方です。しかし、市場が大混乱に陥ったとき、現金は単なる“待機資金”ではなく、富を生むための武器へと変貌します。1929年の大恐慌では、株式、不動産、商品など、ほとんどの資産価格が暴落しました。デフレが進行し、企業の利益は圧縮され、人々の購買力も低下。その中で唯一価値を保ち続けたのが「現金」でした。なぜか? それは、すべての価格が下がると、相対的に現金の購買力が上がるからです。 例えば、1,000万円の現金を持っていた人が、暴落前は買えなかった資産を、価格が半分になった後には容易に購入できるようになる。つまり、価格の下落こそが、現金保有者にとっては“割安で買えるチャンス”に変わるというわけです。また、パニック時には資産を現金化したい人が急増します。その結果、現金を持っている人は、他者よりも“交渉力”を持ち、優良資産を値引きで手に入れることができるのです。まさに現金が王様になる瞬間です。加えて、流動性の高さも見逃せません。市場が不安定になると、売却が困難な資産や、値がつかなくなるような商品は珍しくありません。その中で、すぐに使える現金を持つことは、いつでも動ける“自由”を持つことに等しいのです。 もちろん、暴落が起こるかどうかは誰にも予測できません。しかし、過去の歴史が示しているのは、「危機の前に現金を蓄えていた人」が、最も損失を抑え、回復期に最大の利益を得ているという事実です。現金は、資産運用における“逃げ”ではなく、“次のチャンスを確実に拾うための余白”なのです。次章では、こうした教訓を踏まえ、今の時代に通用する具体的な資産配分戦略について見ていきます。
5.今の時代に通じる「ブラックスワン対策」としての投資戦略 「ブラックスワン」とは、誰も予測できなかった異常事態、そしてそれがもたらす甚大な影響を指す言葉です。リーマン・ショック、コロナ・パンデミック、地政学的リスクの急変…。現代においても、こうした“想定外”は定期的に訪れ、資産市場を大きく揺さぶります。では、こうした予測不可能な事態に、どう備えればよいのでしょうか? その答えの一つが、「守り」を前提にした資産設計です。実際に、1929年の大恐慌を生き延びた投資家は、資産の多くを現金、米国債、金といった流動性と安全性の高い資産に振り分けていました。これは現代にも通用します。特に以下の3つの視点が重要です。
1)米国債や高格付け債の保有 世界で最も信用力の高い資産のひとつが米国債です。市場が不安定になると、「とにかく安全なところに資金を避難させたい」という心理が働くため、米国債への需要が急増し、価格も上昇しやすくなります。暴落時の資産保全として、ポートフォリオに一定割合を組み込む価値は非常に大きいと言えるでしょう。
2)金(ゴールド)という“通貨を超えた資産” 通貨が信用を失い、株式が売られる中でも、金は“価値の保存手段”として世界的に評価されています。価格の変動はあるものの、長期的な視点では極端な価値の消失を避けやすい特性があります。特に、政府の金融政策や紙幣の信認に不安がある時代においては、金の存在感が増すことは歴史が証明しています。
3)流動性を重視したポートフォリオ設計 どんなに安全な資産でも、すぐに売れなければ意味がありません。現金比率を一定に保つ、ETFなど換金性の高い金融商品を活用するなど、非常時に動ける体制を整えておくことが重要です。とりわけ「いつ暴落が起きるかは誰にもわからない」からこそ、投資の基本は“守り”にあるという姿勢が今、求められています。資産のうち株式は高くても30%以内にとどめ、他は流動性を保つように常に“予想外”への備えを意識しています。あなたも、自分の資産構成を一度見直してみてください。ブラックスワンはいつ訪れるかわかりません。しかし備えているかどうかで、その結果はまったく異なるものになります。次の章では、こうした危機の中でもやってしまいがちな「最安値を待つ」という落とし穴について掘り下げていきます。
6.“最安値を待つ”のが最悪な理由──動くべき時を見極める思考法 市場が暴落すると、多くの人は「もう少し下がるかもしれない」「今はまだ底ではない」と考え、最安値になるまで待ち続けようとします。しかし、歴史は何度もこの姿勢の危険性を私たちに警告してきました。なぜなら、“底”というのは後になって初めて分かるものであり、リアルタイムで完璧に見極めることは不可能だからです。最安値を狙って待ち続けた結果、結局チャンスを逃してしまう──これは多くの投資家が繰り返してきた失敗のパターンです。 1929年の大恐慌でも、底打ちの兆候を信じられずに様子見を続けた人たちは、その後の急反発に乗り遅れました。「もう少し下がるはずだ」と考えたとき、すでに市場は回復を始めていたのです。こうした事態を避けるために大切なのは、「最安値をピンポイントで狙う」のではなく、“値ごろ感”が出た時点で分散的に動き出す”という戦略です。 投資の世界には「難平(ナンピン)買い」や「時間分散投資(ドルコスト平均法)」という手法があります。これは、一度にすべてを投資するのではなく、数回に分けて資金を投じることでリスクを分散し、心理的な負担も軽減する方法です。このようなやり方であれば、「底を外した」と感じたときでも、大きな後悔にはつながりません。 もう一つ重要なのは、「動くべきタイミング」を感情で決めないことです。恐怖や欲望に左右されるのではなく、過去のデータや自分で定めたルールに従って、淡々と行動することが求められます。たとえば、「直近高値から20%以上下落した銘柄に少額ずつ投資する」「インデックスが一定ラインを割ったら買い増す」といったルールを事前に決めておけば、暴落の最中でも冷静な判断が可能になります。つまり、暴落時に勝てる人とは、“最安値を見極めようとする人”ではなく、“ブレずにルールを守れる人”なのです。 あなたがこの先、次の暴落に直面したとき、完璧なタイミングを狙って迷い続けるのか。それとも、自分の方針に基づいて一歩を踏み出せるのか。それが、将来の資産を大きく左右します。次の章では、ここまでの内容を整理しつつ、冷静に備えるあなたにとって今なすべき具体的な行動をまとめていきます。
7.まとめ:次の危機に備える、あなたの資産防衛術 市場は常にサイクルを繰り返しています。好景気の後には調整が訪れ、時に暴落と呼ばれる急激な下落局面に突入することもあります。そのとき、資産を守れるかどうかは、危機の最中に“動かない勇気”と“備えの深さ”を持てるかどうかにかかっています。1929年の大恐慌に学ぶべき最大の教訓は、恐怖に反応して行動する人が損をし、静かに備えた人が資産を増やしたという事実です。あなたが今できることは、未来を完璧に予測することではありません。いかなる状況が起きても慌てないように、冷静に準備を整えておくことです。そのためには、以下の3つのステップを意識してみてください。
1)資産構成の見直し 現金や米国債、金など、有事に強い資産をポートフォリオに含めておくことは、防衛の第一歩です。「守る」ことを軽視せず、リスクを限定した上で次のチャンスを待てる体制をつくりましょう。
2)自分だけのルールを決めておく 最安値を狙うのではなく、“この水準になったら一部を買う”というルールをあらかじめ設定しておくことで、迷いや恐怖に流されることなく行動が取れるようになります。
3)歴史から学び続ける 今回のように、過去の暴落における成功者や失敗者の行動を知っておくことは、最も信頼できる判断材料のひとつです。情報に振り回されるのではなく、自らの判断軸を持つために、歴史に目を向けてください。
暴落はいつか必ず起こります。そしてそれは、恐怖を与える一方で、静かに構えていた人にだけ開かれる“富を築くチャンス”でもあります。いざというときに、他人と同じように不安に飲み込まれるのか。それとも、備えと覚悟を持って冷静に行動できるのか。その差が、将来のあなたの資産と人生に決定的な違いをもたらします。あなたがこの先、どんな状況に直面しても、歴史に学び、自分自身のルールと戦略で、力強く生き抜けることを願っています。
8.関連記事リンク:学びを深めたいあなたへ この記事を読んで、「もっと深く知りたい」「自分の資産防衛の精度を高めたい」と思ったあなたへ。以下に、今回のテーマと関連性の高い記事を厳選してご紹介します。どれも“今だからこそ知っておきたい”視点が詰まった内容ですので、ぜひあわせてご覧ください。
1) [バフェット指数から見る市場の現状と投資戦略] 市場の過熱感を見極める「バフェット指数」とは何か?歴史的な水準をどう読み解き、あなたの投資判断に活かすかを解説しています。
2)[テクノロジーが富の集中に与える影響] なぜ一部の人だけが急激に富を拡大しているのか?最新のテクノロジーが資産形成と格差に与える影響について、データとともに深掘りします。
3)[中国の経済成長と世界経済への影響] 世界第2位の経済大国・中国。その成長が投資環境や地政学的リスクにどんなインパクトをもたらすのかを考察しています。
4)[FRBの金融政策と私たちの生活] 米連邦準備制度(FRB)の政策金利や量的緩和が、あなたの生活費・住宅ローン・資産価格にどんな形で影響を与えるのかを丁寧に解説します。
5)[持続可能な投資戦略:ESG投資入門] いま注目されるESG投資とは何か?環境・社会・ガバナンスを意識した投資がなぜ必要なのか、そしてどんな企業や商品を選ぶべきかを紹介します。 未来の暴落に備えるためにも、今この瞬間から知識を蓄え、行動の土台を固めておくことが何よりの武器になります。気になるテーマから、ぜひ一つずつ学びを深めてみてください。 以上です。 |
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