2025/9/28

250928_ウォール街は今-強いドル時代の到来

前回のブログでは、“
債券市場では長期金利の低下、株式市場ではAIや半導体などの成長株への資金集中、為替市場ではドル安トレンドの兆し——これらはいずれも「利下げ観測」という共通の読みを反映しています。この動きはあくまで期待先行の不安定な相場でもあります。利下げが実現しなければ逆流が起こり得ますし、利下げが実施されてもインフレ再燃という新たなリスクを生む可能性があります。つまり、市場は「景気刺激」と「インフレ加速」という二つの未来を同時に織り込んでいるのです。”と書きました。あなたに求められるのは、主体的に判断する姿勢です。資産を分散し、成長セクターを見極め、ヘッジを怠らないこと。そして何より、FRBの声明や政権の発言から政策の方向性を読み解く力を磨くことが、今後の行動指針となるでしょう。

 

例によって前回の相場との比較です。

NYD前回8/15 $44,946.12でした。昨日は9/26 $46,247.29

為替相場前回8/15 147.21円/$ 昨日は9/26 149.52円/$

 

  9月26日の米株式市場でダウ工業株平均は4日ぶりに反発し、前年前日比299ドル97セント高の46,247ドル29セントで終えました。同日朝発表の8月の米個人消費支出物価指数が市場予想と一致する内容でした。年内の追加利下げ観測を揺るがすものではないとの見方が広がり、主力株に買いが入った模様です。

 

強いドル時代の到来

—米国国富ファンドが世界経済に与える衝撃—

 

1.導入:世界を揺るがす「強いドル時代」の幕開け

2025年9月1日、アメリカ経済において歴史的な転換点が訪れました。トランプ大統領が署名した大統領令14196号が施行され、米国政府が保有する地下資源を基盤とする「国富ファンド(ソブリン・ウェルス・ファンド)」がついに始動したのです。

これまでアメリカ経済は、累積債務や対外赤字が重荷となり、ドルの基軸通貨としての未来に不安を抱く声もありました。しかし今回の決定は、そうした懸念を一掃するほどのインパクトを持っています。なぜなら、最低でも150兆ドル規模と見積もられる膨大な地下資源が「眠れる富」から「現金化可能な資産」へと変わり、国家の財政基盤を大きく強化するからです。

この動きは、1862年にリンカーン大統領が制定した「ホームステッド法」に匹敵するとまで言われています。西部開拓を進め、国の富を拡大した歴史的政策になぞらえられるほど、今回の大統領令はアメリカ経済に新たな黄金期をもたらすブースターロケットになると期待されているのです。

では、この「強いドル時代」の到来は、世界とあなたの生活にどのような影響を及ぼすのでしょうか。ここから詳しく見ていきましょう。

 

2.問題提起:なぜ今「強いドル」が重要なのか?

世界経済において、基軸通貨ドルの存在は欠かすことができません。貿易や資源取引、国際金融市場のほとんどがドルを通じて行われており、あなたの生活に関わるあらゆるモノやサービスの価格にも直結しています。しかし、ここ数年「ドルの信頼性は揺らいでいるのではないか」という懸念が繰り返し語られてきました。

その背景には、アメリカの累積債務36兆ドルという莫大な借金があります。さらに毎年2兆ドル規模の財政赤字が積み重なり、国債の持続性や財政健全性に疑問が投げかけられてきました。もしドルの信頼が低下すれば、世界中の金融市場が動揺し、資源やエネルギー価格が高騰する可能性があります。あなたの家計や投資にも大きな影響を及ぼしかねません。

もう一つの問題は、基軸通貨ドルの寿命に対する不安です。中国をはじめとする新興国が人民元や多国間決済システムを通じてドル依存からの脱却を模索し、国際社会では「脱ドル化」という流れが強調されてきました。もしこの動きが本格化すれば、ドルの需要が減り、その価値は下落しかねません。

つまり、私たちが直面していた課題は「ドルはこの先も安全なのか」という根源的な問いでした。アメリカの債務拡大、財政赤字、脱ドル化の潮流――これらが重なることで、ドルに対する不安が高まり、世界経済全体を揺るがすリスクとなっていたのです。

こうした状況の中で登場したのが、今回の大統領令14196号と国富ファンドでした。これは単なる経済政策ではなく、ドルの信頼を根本から立て直す「歴史的な処方箋」なのです。

 

3.要因分析:大統領令14196号と150兆ドルの地下資源

今回の「強いドル時代」の到来を理解するためには、まず大統領令14196号の中身を押さえる必要があります。これは、米国政府が保有する広大な国有地と排他的経済水域に眠る地下資源を解放し、それを基盤に「国富ファンド(ソブリン・ウェルス・ファンド)」を創設するものです。

米国政府は現在、約2億4000万エーカーもの国有地を所有しています。そこには石油や天然ガス、金・銀・銅、リチウム、レアアースといった重要資源が埋蔵されており、その価値は最低でも150兆ドルに達すると見積もられています。これまでは環境規制、とくにCO2排出削減政策によって開発が制限されていました。しかし、トランプ政権がCO2規制を撤廃したことで、これらの資源が「使えない宝」から「現金化できる国家資産」へと変わったのです。

この仕組みによって、米国は従来の歳入に加えて、地下資源の開発利益を国富ファンドに組み入れ、公共インフラ投資や財政基盤の強化に充当できるようになります。すでにノルウェーやサウジアラビアが同様のファンドで成功を収めていますが、アメリカの場合はその規模が桁違いであり、世界最大級の資源国としての強みが改めて浮き彫りになりました。

さらに、この大統領令は「現代版ホームステッド法」とも呼ばれています。リンカーン大統領が西部開拓を推進し、農民に土地を与えることで国家の富を拡大したように、今回の政策もアメリカ経済に新しい黄金期をもたらすと期待されているのです。

要するに、ドルの強さを支えるのはもはや「信用」や「軍事力」だけではありません。現物資産としての石油・天然ガス・鉱物資源がドルの裏付けとなり、基軸通貨としての寿命を大きく延ばす要因となっているのです。

 

4.国民・投資家の視点:ドルと株式市場への期待と不安

大統領令14196号によって始動した国富ファンドは、アメリカ国民と投資家の両方に大きな期待を生み出しました。まず注目すべきは、所得税の減免が現実味を帯びてきたことです。膨大な資源収入を国家財源に充てられるようになれば、国民の税負担が軽減され、消費や投資に回る資金が増える可能性があります。これは個人の生活を直接潤すとともに、経済の好循環を生み出す力となります。

さらに、資源収入を原資とするインフラ投資の拡大も予想されます。道路、橋、エネルギー供給網などへの大規模投資は、製造業の回帰や雇用拡大につながり、アメリカ国内の経済基盤を一段と強化するでしょう。投資家にとっては、これらの分野に関連する企業への資金流入が見込まれるため、株式市場の活性化が期待されます。実際、ウォール街では「ダウ平均が5万ドル、さらには6万ドルに達する可能性もある」との強気な予測が飛び交っています。

一方で、冷静な見方も存在します。大量の資源を一気に市場に供給すれば、インフレ圧力を高めるリスクがあります。また、資源価格の変動に依存する経済運営は不安定要素を抱えており、国富ファンドの運用が適切に行われなければ逆効果となる懸念も否めません。

さらに国際的な影響も無視できません。中国はこれまで米ドルを獲得するために資源取引を活用してきましたが、アメリカが自前の資源を積極的に現金化することで、中国の外貨獲得手段が制約される可能性があります。これにより中国経済がさらに圧迫され、国際的なパワーバランスが変化することも考えられます。

国民にとっては「税負担の軽減」という直接的なメリットがあり、投資家にとっては「株価上昇」という好機がある一方で、インフレや地政学的リスクも付きまとう――まさに期待と不安が交錯する局面にあるのです。

 

5.対応策:日本と世界が取るべき戦略

アメリカの国富ファンド創設は、単なる国内政策にとどまらず、世界経済の構造を大きく揺るがす出来事です。では、日本や世界の国々は、この「強いドル時代」にどのように対応していけばよいのでしょうか。

まず日本にとって重要なのは、投資戦略の見直しです。これまで日本は米国国債の最大の買い手として、国家予算の安定に貢献してきました。しかし、米国が資源収入を得て財政基盤を固めるなら、国債への過度な依存は相対的に意味を失います。むしろ、エネルギー・鉱業・インフラといった米国内の成長分野に直接投資することが、日本企業の競争力を高める近道となるでしょう。

次に、エネルギー安全保障の観点です。アメリカが資源国としての立場を強めることで、原油や天然ガスの供給網は再編される可能性があります。日本はこれを好機と捉え、米国との長期エネルギー契約や共同開発を進めることで、安定的な供給を確保しつつ価格変動リスクを抑えるべきです。

さらに、世界の国々にとっても重要なのは、「ドル一強時代」にどう適応するかという点です。ドルが資源によって裏付けられるなら、基軸通貨としての地位はさらに盤石になります。その一方で、新興国は脱ドル化の余地を狭められるため、自国通貨の安定化や多角的な通商戦略を模索する必要が出てきます。

個人レベルで考えても、投資や資産運用の方針を柔軟に切り替えることが欠かせません。株式市場ではエネルギー・資源関連株やインフラ関連株が注目を集める一方で、為替市場ではドル高の影響が長期にわたることを見越す必要があります。あなた自身も、「強いドル」という新しい現実を前提にした資産形成を考える時期に来ているのです。

つまり、世界各国も日本も、そしてあなた自身も、アメリカの動きを「外から眺める」だけではなく、積極的に取り込み、次の成長戦略に活かすことが求められているのです

 

6.まとめ:ドルの未来と我々への教訓

今回取り上げた大統領令14196号と国富ファンドの始動は、アメリカ経済における歴史的な転換点であり、同時に世界経済のパワーバランスを変える出来事でもあります。150兆ドル規模の地下資源を背景にしたドルは、単なる信用通貨を超えて実物資産に裏打ちされた「強い通貨」として再生しようとしています。

この動きが示しているのは、基軸通貨ドルが当面揺るがないどころか、さらに影響力を拡大する可能性が高いということです。米国民は税負担の軽減という恩恵を受け、投資家は株式市場の新たな成長を期待できるでしょう。一方で、中国をはじめとする新興国は圧力を受け、日本を含む同盟国も対応戦略を迫られています。

あなたにとって重要なのは、この変化を「遠い国の出来事」として片づけないことです。ドル高の長期化は、輸入物価や資産運用に直接影響を与えます。だからこそ、強いドルを前提にした生活設計や投資戦略を考えることが欠かせません。

要するに、今回の国富ファンドの創設は「アメリカの未来」だけではなく、「あなたの未来」にも関わるテーマなのです。今こそ冷静に世界の動きを見つめ、自分自身の選択に活かしていく姿勢が求められているのではないでしょうか。

 

7.関連記事リンク:さらに理解を深めるために

今回ご紹介した「強いドル時代の到来」は、単なる経済ニュースではなく、あなたの生活や資産形成に直結する重要なテーマです。より深く理解するために、以下の関連記事もぜひお読みください。

1)「脱炭素の真実:本当に必要なのは何か?」⭐️

世界が掲げてきた脱炭素政策の功罪を検証し、資源開発とのバランスをどう取るべきかを解説しています。

2)「経済安全保障とエネルギーの未来」⭐️

資源をめぐる国際競争が激化する中、日本がどのように自国の安全保障と経済成長を両立させるべきかを考察しています。

3)「諸外国の財政政策から学ぶ:成功例と失敗例」⭐️

米国以外の国々がどのように財政運営を行ってきたのかを比較し、日本が取るべき道を探ります。

こうした記事を併せて読むことで、今回の「国富ファンド」をきっかけとした世界経済の変化をより多角的に理解できるはずです。強いドルの時代に、あなたがどのような選択をすべきかを考えるヒントにしていただければ幸いです。

 

以上です。
 

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